小圓朝トップ 小円朝資料室 略歴
2006−09−24 川崎大師寄席  記事:谷口特派員
小円朝in川崎大師
 「私は小円朝ってんですが、人からよく『そのうち円朝になるの?』って聞かれるんです。でも、落語の世界で円朝ってのは特別でして。そのかわり家内が保育師してるんで、いつかエンチョウ(園長)になるんじゃないかっ
て、ね」。
 深紅の布で作られた高座のうえで小円朝さんが人なつっこい表情で話し始めました=写真1。前座、二つ目、と終わっていよいよの真打登場。20畳敷きほどの広間には深紅のじゅうたんの上に14,5人。後ろのパイプ椅子に同じほどの客がいます=写真2。後で「今日は客に乗せられた」と小円朝さんが語ったように客はみんなレベルの高い聞き上手でした。なにしろ「大師寄席」は30年もの歴史を誇る地元の手作り寄席ですから。
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 われらが浮間の小円朝さんの高座を聴きに24日、川崎大師のそばまで行って来ました。 京急川崎大師前駅を降りて「ごりやく通り」をほぼ7分。川中島神明神社まで来ると境内に「大師寄席」の赤いノボリが見えました。会場は社務所の広間。木戸銭2000円を払って上がると青い字のチラシを1枚くれました。「第135回大師寄席」。そこには前座から「金原亭駒春」 二つ目「林家彦丸」そして真打「三遊亭小円朝」の名前がありました。

(写真1) 小圓朝さんは浮間3丁目在住
 小円朝さんの高座を見るのは昨年5月の真打襲名披露の両国寄席以来まだ2度目。仕事仲間と「今の教育を改革するには学校に落語を流行らせるのが一番」と「落語研究会」なるものを作ったのですが「それなら『浮間わいわいねっと』という地域誌の特派員仲間で真打がいるよ」と、仲間2人を誘ってやってきたのでした。ねっとの管理人さんに話をしたら「ついでに小円朝コーナーにも書きなよ」ってんで、この日は「わいわいねっと」の正式取材とあいなった次第です。

 おもむろに「わいわいねっと」を名乗ると実行委員会の人が「おお、そうですか」と、青い表紙の30周年記念誌をくれました。A4判30ページほどの裏表印刷の手作り。05年6月12日の第125回寄席が30周年で、その日は柳家小三治師匠を迎えて盛大にやったそうです。その記念誌の記録欄の第1回
(1976年2月28日)になんと小円朝さんの実父、三遊亭円之助(三代目)さん出演の記録があることを実行委員が教えてくれました。小円朝さんは大師寄せ初出演ですが因縁の高座だったのです。

(写真2)大師寄せ風景
 「そうそう、円之助さんは当時NHKの朝ドラ、なんてったけな、調べれば分かるよ、それに職人さんの役で出ていて名が売れてたんだよ。それで旗揚げに協力してもらったってわけ」。大師寄席実行委員会の連絡先になっている自営業、吉田十三次さん(62)は電話口でうれしそうに振り返りました。当日は来れなかったのですが中心メンバー。赤い絨毯は町内会のものであること、とても木戸銭だけでは足りなくて商店街などの協力とりつけに奔走していることなど運営の厳しさも話してくれました。「それにしてもお大師さんのお膝元のような土地柄だからできるんですかね」と聞くと、「いや、落語が好きなやつがいるかどうかだね」との答えでした。
 小円朝さんのこの日の出し物はいずれも古典落語の「天狗裁き」と「粗忽長屋」。小円朝さんは古典しかやりませんが、中でも「天狗裁き」は客の様子をみるためにやることが多いとか。長屋でうたた寝している亭主が嬉しそうな顔をしているので夢の中身を知りたがった女房が「私に言えないのかい」と迫りますが夢なぞ見ていない亭主と大喧嘩に。留めに入った隣人ともけん
か、仲裁に入った大家も夢を知りたがって「親も同然のこの私に」と怒ってお奉行さまに訴える始末。その遠山の金さんまでが夢を知りたがり、そこへ高尾の大天狗がやってきて男をかっさらい、夢の中身を言えと迫る…こんなナンセンスな話がテンポよくきりきりと進んで客は大笑い。襲名披露でも確か聞いた出し物でしたが、この日は「さすがに真打」とうなる出来でした。
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 寄席が終わったあと、小円朝さんの“追っかけ”をしているという西多摩の十二所徳子さん(71)も加わって5人で京急川崎駅前の居酒屋で即席落語講座。十二所さんによると「小円朝さんには華があって語り口が優しいのが魅力」とか。8歳、5歳、1つの子どもの親である小円朝さん(37)も教育に落語というテーマに大賛成。大いに話は盛り上がりました。

 記者(谷口)は用事があって一足早く居酒屋を出ましたが、翌日仲間に聞くとすっかり出来上がった小円朝さんは「北区役所へ行って暴れてくる」と盛んに憤っていたとか。「なんか保育園のことではら立ててたようだけど」と仲間。さすが浮間の小円朝さん。今掲示板で議論沸騰の「りんパパ」問題を真剣に考えている様子。記者も長い間ほったらかしの「Enjoy 子育て in 浮間」を書かなくてはいけないな、と反省したのをオチに長々しいリポートを終わりま
す。



-浮間わいわいねっと-