龍神像(見沼田んぼ)
JR東浦和駅前に設置の竜神像
将軍吉宗の命を受けた伊沢弥惣兵衛為永は、このあたりの見沼を干拓し、利根川から代わりの水を引く工事をしていました。ある晩のこと、為永は夢をみました。見沼の主で龍神という美しい女が現れ、私の住む所がなくなる、新しい住家を探すまで工事を中止してほしい・・・・・・と言います。来春の稲の作付けに間に合わせるために工事は一日も休めません。そのうち工事に負傷者や障害が続出し、為永も病に倒れてしまいました。するとまた夢に先ほどの美女が現れ、お前の病を治してあげるから、私の頼みも聞いてほし・・・・・・と言いました。困った為永は、龍神を慰めるため龍神灯をお供えしました。この龍神灯は、誰がつけるのかわかりませんが、為永の宿舎にしていた片柳の万年寺の大松や、氷川女体神社の大杉に、あかあかと、ともったということです。
さいたま市綠区南部領辻三角下の葦(アシ)の「竜神マルコ」
上の竜神像は特定非営利活動法人「エコ・エコ」が制作展示している「昇天竜」。名前を「竜神マルコ」と言う。全長は15メートル、アシで作られている。
名前のマルコはエスペラント語で湿地を意味するそうだ。NPO法人エコ.エコの保全している湿地を守ってくれる神様なのである。
関東郡代伊奈氏のいた川口市赤山城にまつわる伝承では、庭園の池で伊奈氏が舟遊びを楽しんでいたところに山蛇が来て、見沼の竜神であると名乗り、住処を追われた怨みによって伊奈家に災いをもたらすと告げたという。
見沼の主、龍神を祀るための「御船祭」を氷川女鶻(体)神社が行っている。「御船祭」は干拓後「磐船祭」となり、その後、「祇園磐船竜神祭」として毎年5月4日に行われています。
川口市大字安行原の【安行原の蛇造り】で使われる
似たような造形物が安行地域にあります。
写真は安行・道の駅「樹里安」館内に展示さている「蛇像」です。
【安行原の蛇造り】は川口市大字安行原で毎年5月24日に行われ、五穀豊穣・天下太平・無病息災なども祈願するため、長さ10メートルの蛇をつくることから始まる祭りです。口の中には近くの密蔵院のお札が入っている。
安行地域は大きな沼はありません。代わりに池に棲む蛇が祭祀の対象になっている。
見沼の竜神祭・氷川女體神社
昔より見沼の一番深い所に神輿を乗せた舟を繰り出し、見沼の主の竜神を祀るために「御船祭」と言うお祭りが行われていました。
ところが、見沼を干拓して田んぼにすることになり「御船祭」が出来なくなってしまった。
氷川女體神社は、そのことを幕府に告げると、神社の前に見沼の水を残し、出島をつくりお祭りの場を残してくれたのです。
見沼の竜神は干拓と同時に天に昇りこの地を見守ってくれている。そして、時折、残された沼で泳いでいるのかも知れません。
龍神祭はその後「御船祭」から「磐船祭」と名を代え、現在は「祇園磐船竜神祭」として毎年5月4日に行われています。