西福寺(川口市)観音堂
西福寺 所在地 川口市大字西立野
真言宗豊山派の寺で、弘仁年間(810~824)に弘法大師が国家鎮護のため創建したと伝えられる古刹である。
三重塔は、三代将軍家光公の長女千代姫が奉建したもので、高さ約23メートルあり、県下では一番高い木造の建物である。棟札銘文によると、この塔は、元禄6年(1693)3月27日に建立完成されたもので、かっては、櫓を組んで塔の頂上まで参詣者に登らせたときもあったが、現在では廃止されている。塔は、鉄製の釘を一本も使わず細工によって作り上げてあり、構造は方三間で、一層の天井から真上に一本の柱をたて、その柱から二層・三層の屋根に梁を渡しバランスをとって、風にも地震にも耐えるように工夫されている。一層の天井付近にある「蟇股(かえるまた)」には、十二支を表す動物の彫刻が刻まれ、方向を示している。
西福寺観音堂の本尊である如意輪観音の胎内には、西国・板東・秩父あわせた百カ所の観音像が納められており、このお堂に参詣することで、百カ所の札所をめぐったことと同じ御利益があるとされている。『新編武蔵野風土記稿』には、観音堂の再興は元禄3年(1690)と記されている。また堂内には、三重塔と同じく徳川三代将軍家光の娘・千代姫から寄進された金箔押しの百体の観音像が安置されている。
地蔵堂には延命地蔵、閻魔、奪衣婆が祀られている。延命地蔵はほぼ等身大の大きさで目は半眼に開いているが、ファインダーを通して下から見上げるとまばたきしているように見える。閻魔像はそれより小振りにつくられている。
観音堂が正面にあり大きいので本堂と勘違いしそうだが、観音堂の右手に入ったところが本堂で本尊は下の阿弥陀如来。
釈迦の弟子で賓頭盧尊(びんずるそん)。
通称「おびんずる様」と呼ばれ、堂の前に置かれている 「なで仏」で、病んでいる部位をなでると除病の功徳があるといわれる。
お釈迦様が在世のころ、特別の神通力の持ち主であった賓頭盧尊者が、その神通力を世の人々に自由自在に誇示して見せたので、お釈迦様がお怒りになって、「お前は究極の悟りを得ず、この世にとどまって仏法を守り、人間の病を癒し、多くの衆生を救いなさい」と命令された。尊者はお釈迦様の言葉を守り、今に至っても人々を救う菩薩である。