庚申塔の説明
庚申とは何? 下の図は渡船場跡の庚申塔です。
道教の教えでは、人間の体内には三つの霊が宿っているそうな。
魂(コン)、魄(ハク)、三尸(さんし)である。
人が死ぬと、魂(コン)は天に昇り、魄(ハク)は地下に入る。横道にそれるが、講談や映画に出てくる幽霊が最初に述べる決まり文句があって、「恨めしや~、コンパクこの世にとどまりて恨みはらさずおくものか~」の魂(コン)・魄(ハク)がこれである。即ち、魂・魄がこの世にいれば死んでいないのであろう。
問題は、残りの三尸(さんし)と言う虫が悪さをする。三尸は宿主が死んだ後は自由に遊び回れる存在なのだ。祭りなどにも行けるから、早く宿主が死ぬのを待ち望んでいるのだ。
そして、具合の悪いことに、旧暦で60日に一回巡ってくる庚申(かのえさる)の日に三尸は宿主の体内を抜け出せる。天に昇って天帝に宿主の日頃の行状を報告する役目も負っていて、その報告によっては寿命を短くされるそうな。翌朝に目を覚ます前には戻っている。
あることないこと告げ口されて寿命が縮まってしまう可能性がある。それで、庚申の日になる前日から集団で徹夜すれば三尸は体内から出られない。この集会を3年18回続けた記念に建立したのが庚申塔(正式には庚申待ち供養塔)です。
日本では既に10世紀ごろには盛んだったようで、『枕草子』、『大鏡』などに記述があります。この教えが広まっていく中で仏教や庶民の信仰が加わり、江戸時代には全国の農村などで大流行しました。