管理人さん、みなさん、はじめまして。私は浮間で銭湯を営んでいる者です。
私どもは祖父の代より長年にわたり、地元の方々に支えられ浮間で営業させていただいております。
今回、赤羽自動車学校跡地に建設予定の天然温泉ひかりの湯について、こちらの掲示板に様々な情報や意見が書き込まれていると知人に聞き、はじめて拝見させていただき、この件の当事者として是非みなさんにお話させていただきたいことがあり、このように書き込みさせていただいた次第です。
私どもの銭湯も銭湯組合(正しくは浴場組合)に加盟していると同時に私自身、組合役員をさせていただいている関係上、本件に関してひかりの湯の経営者さんとは現在までに数回ほど協議を重ねております。みなさんの関心も非常に高いようなので、この件に関わる当事者として(公開しても良いとおもえる範囲内で)お話させていただきたいとおもいます。
と、その前に袋湯さんの廃業について一言お話しさせてください。
一般的に銭湯はいくつかの例外もありますが、基本的にはオーナーが直接経営及び営業をしている場合とオーナーは他地域にいて番頭さんが経営及び営業を任され一定額の家賃をオーナーさんに納める場合(我々の間では預かりと称しております)の二通りに分けられます。袋湯さんのケースは後者のほうでして、昨年末まではオーナーに「体が動かなくなるまでは地元の方々の為、がんばって営業を続けてくれ」とはっぱをかけられていたそうですが、年が明けたら「申し訳ないが3月いっぱいで店をたたんでくれ」と一方的に言われ、番頭さんご夫婦も組合の会合で困惑していました。当然、組合長はじめ役員総出でオーナーを再三説得しましたが、皆さんご承知の通り残念な結果に終わりました。決して見過ごしたり見放したりするようなことはありませんでした。廃業後は番頭さんご夫婦もまだまだ銭湯の仕事を続けたいというたっての希望もあり、同業者同士の横のつながりで再就職先の銭湯を探しましたが、現在は三多摩地区でご親戚が経営する銭湯のお手伝いをしているそうで、前と変わらずお元気で働いています。
本題に入ります。
ことの次第は8月中旬、赤羽の銭湯のお客さんから赤羽自動車学校が閉鎖され温泉施設の建設が計画されているとの情報を受けたのが始まりでした。急遽、温泉掘削の許認可を出す東京都に対し事業者の確認をしていただいたところ、自動車学校の経営者であることが判明しました。早速、行政に間をとりもっていただき、両者の話し合いが実現いたしました。しかしながら、話し合いというよりはむしろ経営者側の一方的な計画説明に終始し、その規模や営業形態は我々の想像をはるかに越える大規模なものでした。経営者側に配慮して計画の概要を詳細にご説明することは出来ませんが、簡単にご説明いたしますと、(建築規模等は立て看板等でご承知とおもわれますので割愛させていただきます)業態はスーパー銭湯(大型公衆浴場)、1階は休憩スペースや飲食フロア、各種リラクゼーション施設、2階に天然温泉の露天風呂を中心に各種浴槽、サウナ、脱衣場等を設け、営業時間は午前中より深夜まで(24時間営業ではありません)、料金はなるべく低料金で1日の集客を約2,000人ぐらいと見込み、基本的にはほぼ年中無休で営業、10月より着工、来年の夏にオープン予定とのことでした。この時点で設計会社、建築会社、ボーリング業者はすでに決まっており施設の詳細な図面も完成し、あとは北区に提出する建築申請手続きのみといった状態でした。
これを受けて我々浴場組合は次の点を指摘いたしました。
1、なぜこれほど大規模な計画にもかかわらず、もう少し早い段階で周辺住民や商店街、我々同業の銭湯に説明できなかったのか?
2、周辺住民に対する建設工事期間中の騒音、温泉掘削による地盤沈下の懸念、深夜営業による騒音、車で来場の利用者による周辺道路の交通渋滞や違法駐車及び館内での飲酒後の飲酒運転、大量集客による治安悪化等様々な問題が予想されるが、それらに対する具体的な対策はすでに考えておられるのか?
3、施設の規模に見合った料金体系にしていただけないか?小規模浴場(銭湯)は低料金(物価統制令による都内均一料金400円)に対して大規模浴場(スーパー銭湯)はある程度高めの料金(既存の都内スーパー銭湯の倍近い規模で設備も充実しているので少なくとも1,000円以上に設定していただきたい。すなわち利用者のすみわけを料金によって明確にし、おたがいが共存共栄できるようにしていただきたい。
と、以上3点を中心にお願いいたしました。1については学校閉鎖にともなう諸事情の為、水面下において計画を進めていたとのことで、9月中旬の建築に関するお知らせ看板を立てるまでは表沙汰にしたくなかったそうです。2に関しては社に持ち帰り検討するとのこと。3に関してはあくまでも低料金大量集客をコンセプトとしている為、応じられないとのことでした。とりあえず計画の概要がわかり我々の要望も伝えられたので、学校閉鎖問題が解決し9月初め頃また協議する約束をして閉会しました。しかしながら9月になり学校閉鎖後も連絡がこないので、我々浴場組合は北区議会に対し議長陳情というかたちで次のようなお願いをを提出いたしました。(書き込みにある署名等は行なっておりません)
1、スーパー銭湯経営者と浴場組合が話し合い、合意にいたるまでは各種申請書類を受け付けないで ください。
2、スーパー銭湯経営者は浴場組合と話し合い、合意を得た上で工事着工するよう指導してください。
これを受けて北区区議会は、先日行なわれた健康福祉委員会において全会一致で主旨採択され ました。
9月9日に行なわれた2回目の協議では経営者側はあくまでも当初の計画通り事業を進めていきたいとのことで、様々な懸念される点についての明確な回答は得られませんでした。(検討中とのこと)前回に引き続き周辺住民や商店街への正式な説明会を早急に開催するよう要求しましたが、実現したのは9月29日になってからで、住民説明会自体も建築基準法に則り建物の高さ×2の隣接周辺範囲(約30メートル四方)のごく限られた方々のみを対象にした形式的なものでした。私も経営者側の了解を得て出席させていただきましたが、計画の説明中10月1日よりボーリング作業を開始するとの発言で会場は騒然とし、いくらなんでも短時間で一方的に計画概要を説明されて明後日から着工というのは少々乱暴ではないか、周辺住民への配慮が欠けているのではないか、周辺環境への配慮は考えているのか等、様々な意見や要望が飛び交い、とりあえずこれから説明会を数回開いた上でおたがい納得したかたちになるまでは工事着工を待っていただきたいという統一意見に落ち着き、経営者側の10月1日からの工事着工は行なわない、近いうちに説明会をもう一度開催するという回答を得て閉会しました。
これが一連の経過です。我々浴場組合としてもスーパー銭湯の区内進出は時代の流れと認識し、反対はせずあくまでも地元の住民や商店街と共に経営者側と話し合いを重ねて、おたがいの妥協点を探し双方合意の上で営業していただければ、問題は無いと考えております。実際は目と鼻の先に大型店が出来れば必然的に私ども零細の銭湯経営は苦しくなるのはわかっておりますが、ある程度既存の銭湯に料金面等で配慮していただけるならば利用者のすみわけが出来、共存共栄は可能だとおもわれます。規模は違いますが同じ公衆浴場という業態であるからには、地域住民の健康維持やコミュニティの場の提供といった、日本独自のお風呂文化を後の世に伝えていく使命が我々にはあると日々考えております。今、銭湯は経営者の高齢化、慢性的な後継者不足、大型浴場の進出等の難題を抱え、急速にその数を減らしております。それでも未だに家庭風呂の無い世帯や高齢者世帯、単身者等の需要は少ないながらもあるというのが現状で、そういった方々の為にも我々は経営的には厳しくともがんばって営業を続けているというのが現状です。
長々と駄文を重ねてしまい、管理人さんをはじめみなさま方にご迷惑をお掛けしたことをこの場を借りてお詫び申し上げます。そして我々の気持ちをみなさまに伝えられる場を提供していただき、本当にありがとうございました。
それでは失礼いたします。
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