白酒祭(オビシャ行事)
白酒祭(オビシャ行事)


東京都北区指定無形民俗文化財
熊野神社の白酒祭(オビシャ行事)
北区志茂4−19−1、熊野神社境内
熊野神社は、鎌倉時代末期の正和元年(1312)8月、下村の西蓮寺住職であった淳慶が紀州の熊野三社権現の分霊を招き迎えて創建したと伝えられています。以来、同社は今日まで村の鎮守として志茂地区の神事・祭礼の中心をなしてきました。境内には、享和4年(1804)正月建立の石鳥居、欄干の擬宝珠に文政5年(1822)の年紀がみられる阿夫利神社や嘉永2年(1849)3月建立の富士講村上派の供養塔などがあります。
毎年2月7日に同社では白酒祭と呼ばれる行事が行われます。この行事は元来正月七日の年占いの神事である歩射(オビシャ)の後に饗宴として催されていたものです。祭では墨で丸く書いた円の中に鬼という字を書いて拵えた的を用意し、これを総代ら射手が弓矢で射抜きます。かっては歩射に使用した矢は魔除けになると言われ、籤(くじ)に当たった者が持ち帰れました。歩射が終了すると、主催者が参拝者に白酒(今は甘酒)と切餅を振舞います。この祭の名前の由来ともなった白酒は、元々は祭にあわせてズシと呼ばれる村落内組織が持ち回りで荒川の水を汲んで仕込んだと伝えられています。
関東では千葉県・埼玉県の川沿いに多く見られるビシャ行事ですが、都内で伝承されている事例はきわめて少なく、志茂地区の風俗習慣を理解する上で大変貴重な文化財です。 (平成15年1月 北区教育委員会)

オビシャ祭事 オビシャお祓い
オビシャ神事は熊野大神を招き始まる お祓いを受ける
オビシャ射手 オビシャ的
オビシャ(歩射) 弓矢で的を射る 鬼と書かれた的(一発は上部の額へ当たりガラスを割った)

↑ページ先頭へ